平成10年に全国で370万件であった救急出動件数は、平成26年には598万8,377件(消防ヘリコプターによる搬送を含める)となり、1日平均で1万6,397件の割合での出動し、国民の24人に1人が救急搬送されています。
また、119番通報から救急車が現場に到着するまでの時間は、全国平均で8.6分(平成10年は平均6分)となっています。
さらに、119番通報から救急車が病院に到着するまでの時間も約40分と、通報から現場までの到着時間とともに毎年延長傾向にあります。
引用 : 平成25年版 救急・救助概要 図4 現場到着時間及び病院収容時間の推移から
救急の内訳として、もっとも多い救急車要請の種別は急病(全体の約60%超)であり、続いて一般負傷(怪我など)、交通事故の順となっています。
急病で救急車を要請された原因としては、脳と心臓関係の原因が多く、救急出動全体の数字からも要請された年齢層として、65歳以上の高齢者の方を多く搬送する状態です。
救急要請の多い曜日は、急病が日・月・木曜日、交通事故は金・土・月曜日、一般負傷(怪我など)は日・土・月曜日の順となっており、時間帯としては、午前中(特に10時から12時の間)に救急出動が多い状態となっています。
人は皆、幸せな人生を精いっぱい生き、心身ともに健全に楽しんでいきたいと願ってみえるのではないでしょうか?
誰しも好んで病気となったり、大きな怪我をしたりするわけではありませんが、その選択肢によっては気付かないうちに思わぬ不幸への道を歩んでいるのかも?しれませんね。
あなたご自身に、または愛するご家族にそのような不幸が降りかからないと、ここで紹介させていただいている『今、語られる想い』のような危機感は、なかなか生まれにくいものかもしれません。
思わぬ出来事“もしも“・・・の時にその人の命を救い、再びご家族のもとへそして社会復帰へ導くために必要となる一連の行いを「救命の連鎖 チェーン オブ サバイバル」といいます。この命をつなぐ4つの輪が途切れることなく素早くつながることで、救命効果が高まります。 特に最初の3つの輪は“もしも“の時に、現場に居合わせたあなた(市民の方)により行われることが期待されています。
引用 : 「救急蘇生法の指針2015」P5 V救命の連鎖と市民の役割から
突然の心停止へつながる、心筋梗塞、脳梗塞などの恐ろしい病気・・・過度の飲酒、喫煙、運動不足などが元となる生活習慣病がその原因と言われています。・・・それには食生活の見直し、運動等の健康維持の習慣づけ、定期的に健康診断を受診する、掛かりつけの病院を持つなどが突然の心停止を予防する最善の対策と言えるでしょう。
また、危険回避の心掛け・・・たとえば車に乗られる際に、シートベルトやチャイルドシートの着用をする、歩きスマホを止める、などの何気ない普段の行動に危機意識を持つことが、思わぬ事故に対しての予防につながる2番目の輪≪早期発見と通報≫大切な1歩となると考えます。
“もしも”からの社会復帰は容易でない面があります。
あなたの意識改革でそれを予防し軽減することは可能なのです。
1番効果的な行動は予防意識の向上とその実践!
今一度、あなた自身の生活を振り返りってみませんか?
早期の発見について
それは突然起こります!
心臓が止まったことを早く認識するためには、突然倒れた人や反応がない人をみつけたら、ただちに心臓が止まったのでは?を疑うことが大切です。
心臓が止まっている、またはその疑いを感じたら大声で周りの人を呼び、119番通報とAEDの手配をしましょう!
ほんとうに異常な状態(反応がなく、身体が冷たいなど)は、市民でも明確に認識できることもありますね。しかし、意識があり「私は大丈夫ですから・・・、」と言われたら、あなたは救急車を呼べますか?
心臓が止まってしまう前の危機的な状態を認識(見抜くこと)することも大切です。
オーバートリアージと言われる、緊急性の過大な評価(おおげさに考える)を恐れてはいけません。
市民の方は空振りがあって当然なのです。
医学的知識が薄くても、“胸が痛い、言葉が急におかしくなった、体の片側が麻痺しているなど”は見逃してならない重要な危険のサインです。
救急車を呼ぶことを迷ったら・・・
指針は以下を参考にされてください。
こんな時はすぐに119番!!
引用 : 「こんな時はすぐに119番!!」総務省消防庁 救急車利用リーフレットから
ゆっくり、あわてずに・・・なかなか難しいことですが・・・
あなたは、ご自宅の住所が番地までしっかり言えますか?
お隣の方のお名前は?ご自宅回りの目標物をご存じですか?
まず、必ず安全な場所から119番通報して下さい。
通報には、家にある固定電話からの通報と、携帯電話による通報があります。
119番通報は、その地区を管轄する消防署の通信指令課(消防職員)が受信します。
電話に対応する通信指令課員の質問に順次答えていただければ、スムーズに早く救急車が出動でき、その後の対応方法もお伝えできます。
あわてず、住所(市町村名から)・具合の悪い人(おおむねお年齢・性別などの状態)を伝えて下さい。また、通報の際にコードレス電話を使用することは、具合の悪い方を観察しながら通報できる有効な手段となります。
携帯電話の通報で住所がわからない場合は、近くのお店、交差点などの目標物を伝えて下さい。近くにみえる人(通行人)に協力依頼をするのも良いでしょう。
また、携帯電話のGPS機能を作動させることにより、目標物が不明などの場合でも、救急車を呼びたい場所がわかりやすくなる場合があります。今一度、あなたの携帯電話のGPS発信機能設定を確認してみて下さい。
なお、救急車を呼ばれた場所によっては、担当する消防署(県市町村が異なる場合があります)に転送される場合があります。
“もしも”の時にあわてない方はいません。
でも・・・ゆっくり、できるだけあわてずに・・・をお願いします!
具合の悪い方の意識と呼吸があるか?はとても大切な情報となります。
迷ったり、わからなかったりしたら、見たままの状態「呼びかけや、刺激に動かない!」「いびきのような呼吸をしている!」「肩で呼吸している!」などを通信指令課員に伝えて下さい。
指令課員は、色々な方法で救急車の呼ばれた場所を早期に特定し、その通報途中に救急車を出動させるように努力しています。
中でも具合の悪い方の状態によっては、緊急処置が出来る病院に事前予約をし、PA連携とよばれる消防車の追加出動、さらにはドクターヘリの手配なども併せて行います。
色々な細かい情報をうかがいますが、全て≪命≫をつなぐ行動であるとご理解いただき、通信指令課員(消防職員)の指示に従い、できる限り落ち着き、勇気をもった行動をお願いします。
ここが1番の勇気の出しどころ!!
“何もしないより、したほうがイイ”が応急処置の第1歩です!
でも・・・何をしたらいいのか解らない!?
ご心配はありませんよ!
通信指令課員は応急手当の知識がある消防職員が対応しています。
指令課員が緊急事態を判断すれば、電話で必要な応急処置をお伝えします。
その指導に従って、あなたができることを行って下さい。
そこで、心臓が止まったのでは!?を目撃した“もしも”の時には、心肺蘇生法とAEDを使用して、止まってしましった心臓と呼吸の動きを助けてください。
これはその場で市民ができる、脳と心臓に酸素をおくり続ける、とても大切な手技なのです。
脳は心臓が止まってしまうと、わずか4分程度で、回復することが困難な状態になると言われています。救急車が来るまでに約9分を要します。
あなたのお家、職場は、最寄りの消防署から救急車が到着するまでに何分を要しますか?
心臓停止からわずか4分程度で失われてしまう≪命≫を救うには近くにいる“あなた”の勇気が必要なのです!これまでの多くのデータから、すぐに応急処置を実施すれば、時間経過により低下する救命のチャンスを遅らせることがわかってきています。失敗を恐れてはいけません。
あなたの勇気は全て正しい行いとなり、最後の4つ目の輪二次救命処置心拍再開後の集中治療へと繋がります。
いざというときのために応急手当の知識と技術を身につけておきましょう
心止村 湯けむり事件簿
減らせ突然死 AEDプロジェクト
いかがでしょうか?これらの1つ1つの手技は決して難しくありません。しかし、突然の出来事に遭遇した時に、いつでも同じようにできるとは限りません。
『備えあれば患いなし』・・・・・体験が全てなのです!
現在は、このような応急処置の講習会に全国で約150万人の市民の方が参加され、さらにはその指導者となる講習に、約10,000人の方が受講をされています。
“もしも”が起こった時に、その場に医師・看護師・消防職員が必ずいるものではありません。
その場に居合わせた、あなたが心肺蘇生を行うことが最も大切なのです。
ぜひ消防署、日本赤十字、医療機関、蘇生普及のNPOなどで開催されている救命講習に参加されてはいかがでしょうか?